大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(う)2685号 判決

被告人 高梨章

〔抄 録〕

控訴趣意第一点法令違反の主張について、

所論は、原判示第一の窃盗、同第二の一の無免許運転、同二の酩酊運転の各罪は包括一罪に当るか又は観念的競合の関係にあるもので、右三罪を併合罪として処断した原判決には法令適用の誤りがある、というのである。

然し、包括一罪は、同一被害法益に対し機会を同じくして反覆して侵害行為が行われた場合、これを包括して一罪として評価すべきものであるところ、本件においては、原判示第一の窃盗罪と原判示第二の各道路交通法違反罪との間に右説示の関係の存在しないことは自ら明らかであるから、右三罪を包括一罪とする所論の理由のないことは明らかである。次に、観念的競合の点について検討してみると、窃盗罪は他人の所持を侵害し自己の所持を設定することにより成立するものであるところ、原判示第一の窃取した自動車の運転行為は窃取行為それ自体ではないのであるから、原判示第一の窃盗罪と同第二の各道路交通法違反罪とを一個の行為でなされたものとする所論は既にこの点において理由がなく、また原判示第二の各道路交通法違反罪の所為は、なるほど自然的行為として自動車の運転という行為を共通にするが、両罪はその構成要件を異にし、構成要件的評価の対象となる行為は自ら別個であり、右の運転行為自体を対象とするものとは解せられないから、両者も又一個の行為により二個の罪名に当るものとは解されない。(しかも、右窃盗罪と前記各道路交通法違反罪とが併合罪の関係にある以上、道路交通法違反罪が併合罪の関係にあるか、所論の如く観念的競合の関係にあるかを論ずることは実益がない。)所論は結局独自の主張であって採用できない。論旨は理由がない。

(荒川 谷口 時國)

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